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第6部分

なかには白いま[#「ま」に傍點]|綿《わた》がギッチリと、すきまなくつめこんである。文彥はふるえる指で、そのま[#「ま」に傍點]綿をとりのぞいていったが、そのうちに、アッという叫び聲が、三人のくちびるからいっせいにとんで出た。

ああ、なんということだろう。ま[#「ま」に傍點]綿のなかには|鶏《けい》|卵《らん》くらいのダイヤが六個、さんざんとしてかがやいているではないか。ああ、そのみごとさ、すばらしさ、赤に、青に、紫に、かがやきわたるまえには、黃金の箱さえみすぼらしいほどである。

「ああ、ダイヤだ。ダイヤだ。ダイヤモンドだ。しかも、これだけの大きさのものが、世界にいくつもあるはずがない。それがどうしてこの箱に……」

金田一耕助は、気がくるったような目つきをして、箱のなかをにらんでいる。

「せ、先生、こ、これは本物でしょうか?」

「本物だとも。にせものじゃ、とてもこれだけの光はでない」

「おじさん。いったいどのくらいの値うちがあるの?」

「三太、そ、それはむりだ。とても計算できるものじゃない。何十儯��⒑偉賰|か……これだけの大きさのこれだけの粒のそろった、傷のないダイヤモンドは、世界にぜったいに類がないんだ」

金田一耕助が、気がくるいそうに思ったのもむりはなかった。

ダイヤモンドのような寶石類をはかるには、カラットという単位が使われるのだが、一カラットは〇.二グラム。これだけのダイヤなら、少なくとも二百カラットはあることだろう。

いままでに発見された、世界最大のダイヤモンドは、九七一カラットということになっているが、これは|原《げん》|石《せき》の大きさで、加工されたり、小さく切られたりするので、完成されたものとしては、英國皇室に秘蔵される『山の光』の一〇六カラットが世界最大といわれているのだ。

一カラットでも、そうとう高い値段なのだから、それが、大きくなればなるほど、とんでもない値段になってくるのだ。金田一耕助がいま、何十儯��偉賰|といったのも、けっしてうそではなかった。金田一耕助と文彥は、息をのんで箱のなかを見ていたが、そのときだった。三太がとつぜん、とんきょうな聲をあげたのである。

「お、おじさん、こ、これじゃありませんか。このダイヤじゃありませんか」

三太が見つけたのは、畳の上に投げだしてあった夕刊だった。金田一耕助と文彥は、三太の指さすところを見て、おもわずアッと息をのみこんだ。

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“世界的|大《だい》|寶《ほう》|冠《かん》消ゆ!……怪盜、銀仮面のしわざ……時価數百儯鼉搖ⅴ聖兢頦膜膜嗔�膜違昆ぅ洹���

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そんなことばが六段ぬきの大見出し、大きな活字で書いてあるのだった。

三人は息をのんで、無言のまま、しばらくこの活字をにらんでいた。

大寶冠

“世界的大寶冠消ゆ!……怪盜、銀仮面のしわざ……時価數百儯鼉搖ⅴ聖兢頦膜膜嗔�膜違昆ぅ洹���

ああ、ひょっとするとこの事件と、文彥のもらった黃金の小箱とのあいだには、なにか関係があるのではあるまいか。

それはさておき、その夜は三人いっしょに、眠られぬ一夜をすごしたが、夜明けを待って金田一耕助が、文彥や三太を連れて、やってきたのは|桜田門《さくらだもん》の警視庁。|等《と》|々《ど》|力《ろき》警部に會いたいというと、すぐ応接室に通されて、待つ間ほどなくあらわれたのは、四十五、六歳の|血色《けっしょく》のよい人物。それが等々力警部だった。

「やあ、金田一さん、しばらく。おやおや、きょうはみょうな連れといっしょですね」

警部はふしぎそうな顔をして、文彥と三太少年を見くらべている。金田一耕助はふたりを警部にひきあわせると、

「じつは、警部さん、きょうきたのはほかでもありません。銀仮面のことですがね」

と、金田一耕助が口をひらいたとたん、警部はひざをのりだして、