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第2部分

相手をたしなめるように、

「これ、|牛《うし》|丸《まる》、どうしたものじゃ。お客さまがびっくりしていらっしゃるじゃないか。文彥くん、かんにんしてやってください。こいつは口がきけなくてな。もっともふだんは|読唇術《どくしんじゅつ》で、話もできるのだが、きょうはよっぽどあわてているらしい。牛丸、おちつきなさい」

老紳士にたしなめられて、牛丸青年もいくらかおちつき、手まねをまじえて、なにやら話をしていたが、それを聞くと老紳士の顔が、とつぜん、キッとかわった。

「な、な、なんだって? それじゃまたダイヤのキングが……」

「おう、おう、おう……」

「よし、案內しろ」

老人はよろめく足をふみしめながら、牛丸青年のあとからついていく。文彥はちょっとためらっていたが、思いきってあとからついていった。

洋館のうしろはしばふの庭になっていて、そのしばふの中央に太いスギの古木がそびえている。そのスギの木のそばに、香代子がまっさおになって立っていた。

牛丸青年にみちびかれるままに、老人はよろよろと、スギの木のそばへ近づいていったが一目その幹を見ると、アッと叫んで立ちすくんでしまった。

スギの幹のちょうど目の高さあたりに、みょうなものが五寸くぎで、グサリと突きさしてあるのである。それはトランプのダイヤのキングだった。

黃金の小箱

「アッ、こ、これはいけない!」

ヘビにみこまれたカエルのように、しばらく、身動きもせずに、あのあやしいダイヤのキングを見つめていた老紳士は、とつぜん、そう叫んでとびあがった。そして、そのひょうしに文彥のすがたを見つけると、

「アッ、文彥くん、きみもここへきていたのか。いけない、いけない。きみはこんなところへきちゃいけないのだ!」

そう叫んで文彥の手をとると、

「さあ、いこう、むこうへいこう、香代子。牛丸。おまえたちも気をつけて……」

文彥の手をとった老紳士は、逃げるように勝手口からなかへはい�