大変だった。
「……特には、無いかな。何でもいいよ」
「あ、じゃぁ、俺、焼肉食べたい」
「じゃ、焼肉にしましょ。6時には出るから、準備しておいてね」
そう微笑んだ母を見て、健人は立ち上がった。6時から出かけるのなら、まだ時間は十分にあるので自室へと上がる。その後ろをバタバタと追うような足音が聞こえて、健人は振り返った。歩が物悽い勢いで階段を駆け上がってくる。
「ちょっと、待って」
「……何だよ」
顔を合わせることも気恥ずかしい健人は目を逸らして俯く。母がいきなり帰ってきてくれたから、あの狀態でやめることが出來た。帰ってこなければ、流されるまま、ヤってしまっていただろう。それがどれほど恥ずかしいことか、今考えると顔から火が出そうだった。
「俺の部屋、いこ」
「……え」
「変なことはしないから。ね?」
変なことはしないと言っても、先ほどやられたのだ。信懀�預蠠oいけれど、腕を引っ張って部屋に連れて行かれてしまっては、拒むも何も無かった。初めて入る歩の部屋は思った以上に、綺麗だった。
部屋に入るなり、キョロキョロとしている健人に「あんまり部屋の中、見ないで」と歩は苦笑いをした。汚くしているつもりもないが、綺麗にもしていない。あまりじろじろ見られると、見られちゃまずい物まで見られそうで怖かった。
「適當に座って」
「……うん」
適當にと言われてもどこに座っていいのか分からず、健人はテ��芝毪吻挨俗�盲俊<窯沃肖恰⒆苑證尾課蕒乳g取りも同じなのに、他人のテリトリ��巳毪毪長趣�長螭勝摔餼o張するとは思わなかった。蒸し暑い部屋の中に、冷たい風が吹き始める。
「驚いたね。まさか、あんなに早く帰ってくるとは思わなかった」
歩は健人の隣に座って息を吐きだした。さっきまで抱き締められたり、それ以上のことをしていたと言うのに、隣に居るだけで緊張していた。上手く言葉を出すことが出來ず、健人は目を逸らして床を見つめた。なんて言って良いのか分からない。一瞬にして部屋は無音になり、沈黙が続いた。
隣にいる歩が動く気配がして、健人は最高潮に緊張した。また先ほどと同じことをされても、拒めるとは思えない。ぎゅっと目を椋Г袱皮い毪取⒓紺酥丐撙蚋肖袱平∪摔夏郡蜷_けた。
「……ね、て……、る?」
目を椋Г袱皮工浹工浹惹尷ⅳ蛄ⅳ皮皮い霘iを見て、健人は大きく息を吐いた。先ほどまで緊張していた糸がウソのように解かれ、緊張していたことがバカバカしく感じる。ここ最近、眠れなかったのは歩も同じだったのだろうか。肩に溫もりを感じながら、健人まで眠りについてしまった。
互いに好きあっていたとは、お互いに思っていなかったのだろう。こんな不安定な気持ちほど、思考を亂されることはない。
好きと言う気持ちが、戀に変わりつつあった。
母の怒鳴り聲で目を覚まし、二人は慌てて1階へと降りた。約束の時間は6時で、怒鳴られたのは7時を過ぎた頃だった。
「二人揃って寢てたってどう言うことよ。6時って言ったじゃない」
「ごめんって、母さん。まぁ、早く行こうよ」
「そうね」
時間を守らないことを嫌う母は車中でも不機嫌だったが、焼き肉屋に入るとその不機嫌さもどこかへと消えてしまったようだった。メニュ��蚱�證說陠Tにどんどんと註文をして行く。昔から、母はこうやって食べにくると羽振りが良かった。レストランで健人に「食べたいものは何でも言いなさいよ」と言って、勝手に頼んで行く姿を思い出した。
「來月、博人さんの13回忌なんだけど、みんなで行くわよ」
はっきりとそう言った母に、健人は箸を落としそうになった。まさか、義父の前で父の話をするとは思っていなかったし、13回忌に歩や義父を連れて行くとも思わなかった。去年の墓參りは二人で行ったから、餘計だった。
「……え、何で?」
「何でって、親戚関係に