關燈 巨大 直達底部
親,雙擊螢幕即可自動滾動
第10部分

は銀仮面。

銀仮面は耕助のすがたを見ると、クルリと身をひるがえし、左手の丘をかけのぼっていく。

しめた、その丘の上には、等々力警部が見張りをしているはずなのだ。

「警部さん、警部さん、銀仮面がそっちへ逃げましたぞ!」

金田一耕助も丘の小道へかかったが、そこへやってきたのは文彥である。

「あ、金田一先生!」

「おお、文彥くん、きみもきたまえ!」

ふたりが丘を半分ほどのぼったときだった。丘の上からピストルをうちあう音。金田一耕助と文彥は、ギョッとして顔を見合わせたが、すぐまた、すばやく坂をかけのぼった。

「吉井くん、村上くん、銀仮面がそっちへいくぞ!」

丘の上から等々力警部の聲。吉井、村上というのは見張りの刑事なのだ。金田一耕助と文彥はその聲をたよりに、曲がりくねった坂道をのぼっていったが、ふいに文彥が、なにかにすべってよろけてしまった。

「文彥くん、どうした、どうした?」

文彥は懐中電燈で足元を照らして見て、

「アッ、先生、こんなところに血が……」

見れば道の上にべっとりと、血がこぼれているのだ。金田一耕助と文彥は、おもわず顔を見合わせた。

「先生、銀仮面はけがをしたのですね」

「そうらしい、警部のたまがあたったのだろう。この血のあとを伝っていこう」

しかし、そこはひざもうまるほどの草むらなので、血のあとはすぐに見えなくなってしまった。その広い草むらには、あっちに二本、こっちに三本と、スギの大木がまもののように、暗い夜空にそびえている。

ふたりがその草むらをわけていくと、またピストルをうちあう音。ふたりが顔をあげて見ると銀仮面が草をわけてよろよろと、こっちのほうへやってきた。そしてその三方からじりじりとせまってくるのは、等々力警部にふたりの刑事。金田一耕助もそれを見ると、警部にかりたピストルをとりだした。

ああ、もうこうなれば銀仮面は、袋のなかのネズミもおなじことである。

銀仮面はそれでもまだ、降參しようとはせず、あちらのスギ、こちらのスギと、たくみに身をさけながら、逃げられるだけ、逃げようとするようだ。それをとりまく五人の輪は、銀仮面を中心に、しだいにせばめられていった。

と、ふいに身をひるがえした銀仮面は、また一本のスギの木かげにかくれた。そのスギの木というのは、地上三メ��去毪郅嗓胃撙丹喬肖槨欷殼肖曛轆坤�⑻�丹趣い盲郡欏⒍���ㄒ隕悉玀ⅳ恧Δ趣いΔ筏恧玀危郟!袱筏恧玀巍工稅�悖蕒扦ⅳ搿�

五秒――十秒――、銀仮面は切り株のかげにかくれたまますがたを見せない。その切り株をとりまいて、四方からじりじりとせまっていくのは警部や刑事や金田一耕助。とうとう一同は、ほとんど同時に、切り株のそばへたどりついたが、そのとたん、キツネにつままれたように顔を見合わせた。

ああ、なんということだろう。銀仮面のすがたはどこにも見えなくなっていたのだった。

窓にうつる影

「そんなはずはない。そんなばかなことはない。あいつだって血と肉でできた人間なんです。煙のように消えるなんて、そんなばかな……!」

一同があっけにとられてポカンとしているとき、そう叫んだのは金田一耕助である。怒りにみちた聲だった。

「どこかにかくれているんです。さがしましょう。もっとよくさがすんです」

しかし、いったいどこをさがせばいいのか。五人の人間が五人とも銀仮面がこの切り株の陰へはいるところを見たのである。しかもだれひとり、そこから出るところを見た者はいない。銀仮面はこの切り株のなかへ吸いこまれたのだろうか。

そうだ。銀仮面は切り株のなかへ吸いこまれたのだ。それを発見したのは文彥だった。

「アッ、先生、この切り株はうつろですよ。そして、こんなところに血が……!」

「な、なんだって!」

一同がびっくりしてふりかえると、文彥は懐中電燈で、切り株の幹を照らしていた